校長から生徒の皆さんへ!「挑戦する読書」ー第8回ー

 「挑戦する読書」も第8回となりました。学校休業が長引き,生徒の皆さんがこの時期だからこそじっくり時間をかけ取り組んで欲しい本を紹介しようと思い立って,この連載を始めました。「挑戦する」というタイトルは,簡単にすらすらと読める本ではなく,黎明中学校・黎明高等学校に入学したのだから,難しくても手にとって欲しい,読破して欲しいという意味を込めました。

 昨年,読書週間を前に,全校集会で岩波文庫全7巻,アレクサンドル・デュマの「モンテクリスト伯」を紹介しました。エドモン・ダンテスが無実の罪で長い年月投獄され,脱獄してお金持ちになり,モンテクリスト伯爵を名乗って自分を陥れた人々に復讐する物語です。私は「ニュースステーション」でキャスターを務めていた久米宏さんが,この作品を紹介され,夢中で7冊を読破した話に触発されました。読み始めるとどんどん作品世界に引き込まれていきます。読んでいない生徒の皆さんには是非この機会に手にとって欲しい作品です。


 A・デュマ「モンテクリスト伯」第1巻~第7巻 岩波文庫

 さてここからが今回の作品紹介です。みなさんはこれまで本を読みなさいと,様々な機会にお話しされてきたことと思います。なぜ本を読まなくてはならないのか!本を読むことでどんな力がついてくるのか!その明確な答えを知っていますか。私は国語の教員ですのでその答えは私なりに生徒たちに話してきたつもりでしたが,この本を読んで,その答えが明確になりました。答えはここでは明かしませんが,この本では,小さい頃に良質の絵本に触れることで,読書世界がどんどん広がっていくことを紹介します。絵本の好きな生徒にはこれも読んでみよう,あれも・・・と思わせてくれる,魅力的な絵本紹介本にもなっています。今回は難解な本ではありません。なるほどそうだよね!と頷きながら読んでいくことになりそうです。

 脇 明子(わき あきこ)「読む力は生きる力」 岩波書店

 筆者は,出版当時,ノートルダム清心女子大学教授で,幼稚園や小学校の先生を志す学生たちが「本を読めない」と訴えることが多くなり,危機感を感じるようになったことが出版の契機だったようです。将来,同じような職業を志す生徒は必読です。

    <この本の帯に記されている文章を紹介します。>
 「これは,生きる歓びを子どもたちに伝えるための読書論。子どもと子どもの本の世界への,たしかな道しるべ。子どもにかかわって生きる人への激励の書です。」 

                                  令和2年6月19日

                                   校長 小川 典昭