苦寒風雪ををかしてひらき
争はずして
百花のさきがけをなす
枝頭おごらず
芳香おのづから
四辺にただよふ
これは、本校が昔から大切にしている白梅賦です。着任して以来、最も気に入っているものの一つです。
白梅は、高潔さ、忍耐強さや清楚さを象徴する花として古来文人に愛された花です。本校においても、この白梅に象徴される精神を理想として、旧制古川高等女学校以来、古川黎明中学校・高等学校という併設型中高一貫校となってからも、校章のモチーフとして使われ続けています。
本校の学校目標は、「創造力の育成」「自主・自立の精神の育成」「共生の心の涵養」です。先の白梅賦は、この目標の原点となっています。
困難にあっても、他にさきがけて道を切り開く「創造力」
さきがけとして他に流されず気高くある「自主・自立の精神」
そして争わず、奢らない「共生の心」
この白梅の精神こそ、百年を超える歴史の中でも、変わらず私たちが追い求めている人物像なのです。
白梅も「さきがけ」でした。本校の校名である「黎明」も、その意味は夜明けであり、物事の始まりです。
それを体現すべく、本校では先進的な教育にも取り組んでいます。
文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール事業第3期の指定を受け、「『大崎耕土』からはじまる『気づき』を深め、知の創造に向かうイノベーション人材の育成」をテーマに、これまでの第1期、第2期の経験を踏まえつつ、社会で活躍するイノベーティブな人材を育成するため、さらなるチャレンジに取り組んでいるところです。
スーパーサイエンススクールといっても、いわゆる理系だけを視野に力を入れているのではありません。私たちが目指すイノベーション人材の育成は、生徒が、気づきから、課題を作り、その解決を図るという、課題解決に必要な資質・能力を高度に育もうとするものであり、それは、社会を主体的に担う能力の育成でもあります。ですから、どの教科等においても、その資質・能力の育成を図ろうしています。
本校の生徒は、地域の小中学生に科学することの面白さや良さを伝えようと、積極的に学校の外でも活動しています。また、生徒会活動や部活動でも、中学生、あるいは高校生らしく溌溂とした姿を、そして自主的に活動できる力を私たちに見せてくれています。それは教員にとっても、生徒の秘める可能性のすごさを実感させてくれる姿です。
ぜひ、本校に関心を持っていただき、彼らが入学してからどのように力を伸ばしているか、見守っていただけたらと思います。
今後とも、本校の教育に対し御理解と御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年4月
校長 三宅 裕之