2015年3月の記事一覧

平成26年度古川黎明中学校卒業式 式辞

 苦寒風雪を乗り越えてきた白梅が,花開く季節も間近となりました。
 この佳き日,同窓会長,中学校PTA会長,中高PTA会長をはじめ,多数の御来賓並びに保護者の皆様の御臨席を賜り,平成26年度宮城県古川黎明中学校 第8回 卒業証書授与式を挙行できますことは,卒業生はもとより教職員,在校生一同にとりましても,この上ない喜びであり,御臨席の皆様に,心よりお礼申し上げます。
 さて,ただ今,卒業証書を授与した79名の皆さん,御卒業おめでとうございます。
 私たちの故郷は,4年前の3月,東日本大震災という未曾有の大災害に見舞われました。皆さんは,大震災での大混乱の中,不安だけが先立つ生活を体験しました。その経験は皆さん一人一人の心のなかにしっかりと刻みつけられ,日々の学習活動に生かされてきたと感じています。この経験を忘れず,その試練をバネにして,厳しい環境にも負けずに頑張ってほしいと思います。
 それでは,卒業生の皆さんの今年度の活躍を振り返ってみたいと思います。
 学校行事では,体育祭での縦割り競技,黎明祭でのクラスパフォーマンスや展示,発表,販売,そして合唱祭。どの行事でも常に下級生をリードし,サポートしながら,黎明生としての自覚を促し,伝統の発展継続に力を注いできました。厳しく,優しく,丁寧に指導する姿がとても輝いていました。
 スポーツ部門では,宮城県中学校総合体育大会で,剣道,弓道,新体操,卓球及び陸上競技に出場しました。新体操部は女子団体第5位入賞,陸上競技では男子四種競技で第1位,女子100mで大会新記録第1位,女子100mHで第5位,女子砲丸投げで第7位に入賞しました。
 弓道部は東北弓道ジュニア選手権大会に出場し,男女個人でともに第5位に入賞しました。
 全国中学校陸上競技選手権大会では,女子100mで第4位,ジュニアオリンピック陸上競技大会全国大会においても,女子ジュニアA100mで第3位と大活躍しました。
 文化部門では,合唱部が全日本合唱コンクール県大会で金賞・審査員特別賞を受賞,自然科学部は,『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2014』において参加団体では最多となる11件の賞を獲得しました。
 コンテストやコンクールでは,宮城県読書感想画コンクール第1位,宮城県読書感想文コンクール優秀賞,国土緑化運動・育樹運動ポスター原画コンクール優秀賞,全国人権作文コンテスト県大会優秀賞,少年の主張宮城県大会優良賞,新聞記事コンクール論説委員長賞など数多くの賞をいただきました。
 また,「COPA COCA-COLA 2014」これは中学生によるサッカー全国大会ですが,合同チームで出場し優勝を果たしました。
 この他にも多数の大会で入賞し,古川黎明中学校ここにあり,とその存在感を示してくれました。
 本校は中高一貫教育校として,平成17年に開校して以来,様々な独自の教育活動に取り組んでいます。平成24年度からは,文部科学省「スーパー・サイエンス・ハイスクール」の指定を受け,中学校と高校の連携も深め,教育活動の一層の充実に努めてきました。このような中で卒業生の皆さんは,学業はもちろんのこと,中学生と高校生との交流の活発化を図るために,中高合同の学校行事やあいさつ運動などの生徒会活動への熱心な取組が見られました。
 開校以来,10年が経過し中学校としての伝統も根付き始めましたが,本校はまだまだ若い学校です。古川黎明中学校の卒業生は,皆さん第八期生を含めて,636名です。後輩たちは,これまでの伝統を引き継ぎ,新しい学校づくりも継承してくれると思います。今後はこれまでの経験を生かし,高校生の立場で,後輩たちを積極的に支援してほしいと思います。
 そして,皆さんを暖かく見守ってこられた保護者や御家族,地域の方々に対する感謝の気持ちも大切にし,これからも決して忘れないでほしいと思います。
 次に,今日の門出に際して,卒業する皆さんにはなむけの言葉を贈りたいと思います。
 それは,「よく考えること」です。
 全ては時が解決してくれるということもよく言われますが,時間が経過しても無為に過ごしては何も解決しません。これまでも,なぜだろう,どうすればいいのだろうという疑問や課題がいくつもあったことと思います。しかし,悩むだけでは何も解決しません。
 しっかり考えることです。ひたすら考えることです。物事には必ず始まりがあり,そして,動きがあります。はじめの状態から,どのように変化していくのか,今変化するのか,後から変化するのか,どうすれば,それを見極められるのかをよく考えるのです。どのように考えればいいのか。それは,私たち自身が持つ感覚です。その感覚を総動員することです。しかし,そのためには訓練が必要です。考えることを訓練することで,自己表現する力と課題を解決する力が高まります。物事を複数の方向から多面的に考えることができるようになります。
 現代社会は,知識基盤社会といわれています。様々な場面で多くの知識が要求されることになります,知識や技術を身につけるだけではなく,さらに,思考力,判断力,表現力を高めることが求められています。つまり,しっかり考えることがより重要になるのです。
 本校には,「言偏」という独自の科目があります。皆さんは,この授業を3年間真剣に正面から取り組んできました。やればできるという自信を身につけたはずです。何事もやればできると思います。考えればなんとかなります。今後,大切なその時に,十二分に力を発揮することができるはずです。
 また,本校はSSH指定校です。高校ではその活動が一層深まり,課題研究も始まります。これまで取り組んできた,しっかりと考えることに磨きをかけてほしいと思います。
 保護者の皆様に申し上げます。
 お子様の御卒業,誠におめでとうございます。卒業証書を受け取る姿を御覧になりながら,3年前の姿を思い出された保護者の皆さんも多いと思います。本校に入学してからの3年間で,お子様は知力,体力に加えて,心もたくましく成長しました。中高一貫教育校である本校で,日常生活において高校生と身近に接し,学校行事や生徒会活動などで交流し,高校教員による授業などの教育活動や,SSH事業などに全力で取り組んできました。これから始まる高校生活においては,この経験を生かし,もう一段高いレベルでの活躍を期待しているところです。
 この3年間,保護者の皆様から本校の教育活動に対する深い御理解のもと,暖かい御支援,御協力を賜りましたことに,深く感謝申し上げます。
 最後になりますが,卒業生の皆さんは,本校での沢山の体験から,多くを学び,多くの悩みも解決しながら本校で3年間過ごしてきました。これから始まる高校生活にも新たな気持ちで挑戦し,充実した生活となるよう努力してください。
 21世紀を果敢に生き抜くために,興味関心を幅広く持ち,未来を展望し,将来の目標を定め,行動して行くことを心から願っています。
 結びに,本日は御多用のところ,御臨席を賜りました御来賓の皆様,保護者の皆様に厚くお礼を申し上げ,式辞といたします。

 平成27年3月8日
宮城県古川黎明中学校 校長 庄子 英利 

平成26年度古川黎明高等学校卒業式 式辞

 春弥生,いまだ冷たい風が吹き付ける中,白梅は,日一日と力強くなる日光を全身に浴び,たくさんのつぼみが開花の準備を始めています。
 この佳き日,同窓会長,PTA会長を始め多数の御来賓の皆様の御臨席を賜り,平成26年度宮城県古川黎明高等学校第10回卒業証書授与式を挙行できますことは,卒業生はもとより教職員,在校生一同にとって,この上ない喜びであります。本日御臨席の皆様に,心より感謝申し上げます。
 さて,ただ今,卒業証書を授与した235名の皆さん,卒業おめでとう。
 今,皆さんの頭の中では,3年間のたくさんの思い出の映像が,高速で再生されていることと思います。振り返れば高校生活での,様々な試練もあったことと思いますが,その厳しい環境の中においても,学業を全うすることができました。これからの飛躍と飛翔を期待しています。
 保護者の皆様,お子様の御卒業,誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。本校でお預かりしましたこの3年間で,心身とも一回りも二回りも大きく成長し,自立への道を歩み始めるまでになりました。御家庭においても,数多くの御苦労があったものと推察いたします。十代後半の青春期特有の悩みを抱え,苦悩している姿も何度か見てきたことと思います。
 しかし,生徒たちは日々の生活の中で自ら乗り越え,解決してきました。高校生活の中で,学業だけではなく力強い精神力をも身につけてくれました。お子様方の益々の御活躍を心から期待しております。
 本校は大正9年の開校以来,94年,卒業生も29,415名を数えるまでになり,古川黎明高等学校としても,2,391名となりました。
 本校は「尚志」「至誠」「精励」の校訓のもと,「自ら課題を発見し解決する生徒の育成」「自立し未来に立ち向かっていく生徒の育成」「互いをよく理解し共に生きる生徒の育成」という3つの教育目標に基づき教育活動に取り組んでいます。
 平成24年度,文部科学省より「スーパー・サイエンス・ハイスクール」の指定を受け,一昨年夏には素晴らしい施設設備に恵まれた新校舎も完成し,教育活動の一層の充実に努めてきました。
 このような中で卒業生の皆さんは,SSHの第1期生として,1学年で「SS総合Ⅰ・防災地域科学課題研究」,2学年では「SS総合Ⅱ・課題研究」などの特長ある活動に,熱心に取り組んできました。困難が予想される内容もありましたが,皆さんは,素晴らしい研究成果を後輩に示してくれました。
 また,中高一貫教育校の生徒として,中学生,高校生,一貫生,通常生の違いを乗り越えて,全校生徒の交流が活発になるように,体育祭や黎明祭などの学校行事や生徒会活動において,中心となり活動してくれました。
 部活動では,部員同士の連帯を図るとともに,日々の活動での集中力と忍耐力,自分自身の気持ちをコントロールする力を身につけ,最後の最後まで努力する姿を,後輩たちの脳裏にしっかりと焼き付けてくれました。このことは皆さんにとっても,これからの長い人生での道しるべとなるものと思います。
 次に,今日の門出に際して,卒業する皆さんに2つお話ししたいと思います。
 まず,はっきりと「ありがとう」という言葉を伝えてほしいということです。
 日本語には「どうも」という大変便利な言葉があり,「ありがとう」「すみません」「こんにちはお元気ですか」などの意味で日常生活で多用されています。
 家族や親友のように「あうんの呼吸」で意思疎通を図ることができる場合もありますが,自分の気持ちは,しっかりと理解してもらうように表現していくことが大切だと思います。わかってくれているから「どうも」だけでいいではなく,はっきりと「ありがとう」と言葉にして,気持ちを伝えていくことが,特に現代社会での大切な潤滑油となっていくものだと思います。
 次に,臨床心理学者の河合隼雄さんの著書「こころの処方箋」から,「心のなかの勝負は51対49のことが多い」というものです。
 河合さんは次のように述べています。
『51対49というと僅かの差である。しかし,多くの場合,底の方の対立は無意識のなかに沈んでしまい,意識されるところでは,2対0の勝負のように感じられている。サッカーの勝負だと,2対0なら完勝である。従って,意識的には片方が非常に強く主張されるのだが,その実はそれほど一方的ではないのである。』
 物事を決断するとき,私たちの心の奥底には相反する意見が常に存在しているのにも関わらず,どちらかに決めてしまうと,相反するどちらの意見にも良い面,良くない面があったとしても,決めた方の意見のみを強く主張してしまうということです。実際には51対49のようにきわどい差であるのに,あたかも2対0の完勝であると決めつけてしまうのです。
 議論に際して,自分の意見を主張するだけではなく,自分の意見や考えを冷静に分析し,互いに相手の考えとの共通性や対立点を分析して議論することが重要であるということにつながると思います。
 最後になりますが,卒業生の皆さんを暖かく見守ってこられた保護者や御家族に加え,地域の皆様の御支援と御協力に対する感謝の気持ちも,決して忘れないでほしいと思います。
 さらに,校歌の一節にある『一念の「誠」のしるべ 朝夕のたゆまぬ「励」』,この意味するところを肝に銘じ,未来に向けて,ふるさとの一員として社会に貢献し,ふるさとの発展を創造していくことを願ってやみません。
 結びに,本日は御多用のところ,御臨席を賜りました御来賓の皆様,保護者の皆様に厚くお礼を申し上げ,式辞といたします。

 平成27年3月1日
宮城県古川黎明高等学校 校長 庄子 英利