校長室から皆様へ

創立記念日に寄せて

 本日4月17日は創立記念日です。大正9年(1920年)に古川高等女学校が開校,その後,古川女子高等学校,そして古川黎明中学校・高等学校と変遷し,今日記念すべき100周年を迎えました。本年10月23日には100周年記念式典が予定されております。

 創立記念日に寄せて,3月に刊行された生徒会誌「白梅第62号」に寄稿した文章を掲載します。私自身が感じる教員という職業の魅力についてしたためました。学校が再開され,黎明中学校・高等学校の生徒たちと一緒に学べる日が一日でも早く訪れることを切に祈っています。                

 

                 「教え子のラグビージャージ」
                 ~一途に!そしてひたむきに!~                            <白梅第62号の表紙>                                    校長 小川 典昭
 2009年11月,ユアテック仙台スタジアムの最前列,時計を見ながら残り時間をカウントダウンする自分がいた。じりじりと時間が過ぎる。こんなにも時間がたつのを遅く感じるのは,競技時間に制限がないソフトテニス競技を長く経験してきたからだろうか。

 絶対王者仙台育英高校ラグビー部を追い詰め,残り時間あと5分となって3点をリードする仙台三高ラグビー部。この試合に勝てば全国大会花園出場!「はやく試合終了のホイッスルが鳴れ!」と何度時計を見たことか。

 押し込まれ,ノーサイドの笛寸前に逆転のトライを許す。育英の選手たちの目には涙が溢れる。しかしそれはうれし涙というよりは自分たちの代で連続優勝が途切れてしまう恐怖心から逃れた安堵の涙であったように感じられた。「万事休す!」と肩を落とした私たち応援席に聞こえてきたのは「まだだ!いくぞ!」と仲間を鼓舞する聞き覚えのある声。左右の鎖骨骨折を乗り越え,力強く選手を牽引する主将の声だった。諦め,うなだれる選手は一人もいない。力強い主将の声に促され,全員が走り出す姿に心打たれた。

 入学してきたばかりの頃は体の線は細く,繊細な性格もあり,グラウンドに向かう後ろ姿は見るからに弱々しかった。常にどこかしら怪我を負い,担任として何度か転部を進めたような記憶がある。それが浪人生活を経て関東大学ラグビー界の名門,早稲田大学ラグビー部に入部したとの知らせを受け驚いた。

 無名の選手には厳しい世界と知りつつ挑戦するのだから,余程の覚悟が必要である。どこにその強靱な精神が隠されていたのだろう。そんなにもラグビーという競技には魅力があるのかと当時の私は不思議に思ったのを覚えている。

 日本中を沸かせたラグビーワールドカップが閉幕,宴の後の集客を心配する声をよそに,社会人ラグビーや高校ラグビーに観客がわんさと詰めかけている。強豪を次々に破り,決勝トーナメントに進出したことが盛り上がりの要因ではあろうが,「ONE TEAM」をスローガンに,外国出身選手が日の丸を背負い,母国を相手に闘う姿は,日本人の心を揺さぶり,目頭を熱くした。リーチ主将を先頭に肩に手を乗せ,全員が一つになり入退場するシーンは,これからの日本が目指す国際性豊かな社会を体現するかのようなわくわく感をも感じさせた。さらに,活躍した選手が自分ばかりに脚光を浴びるのを嫌い,「自分の役割に過ぎない」とコメントする選手の言葉を聞くにつけ,ラグビーという競技の魅力に改めて気付かされた。敵も味方もない,ましてや日本人や外国人の区別もない。そこにあるのはラグビー競技の歴史が育んだ精神性,選手同士への「敬意」なのだと。

 早稲田大学2年生に在籍時,春先に母校を訪れた際,一緒に食事をする機会があった。肩幅が1・5倍,私を見下ろすような体格で現れた彼は,この2年間で一般受験で入部した多くの部員が退部してしまったことや,レギュラーになることは至難の業であることを淡々と語った。しかし,彼の声は憧れの臙脂と黒のジャージを,いつか公式戦で着るんだという強い決意に溢れていた。

 それから2年後,私の携帯に留守電があり,現役最後の試合でベンチ入りし,あこがれのジャージを着ることになったこと,そして是非応援に来て欲しいという,彼にしてはちょっと興奮気味の声があった。部活の顧問でもない私に対し,卒業してからも丁寧に連絡をくれる彼に,教員であることの喜び,嬉しさを感じ,感謝の気持ちでいっぱいになった。 ワールドカップを放映するテレビカメラはピッチサイドで闘っている選手の一挙手一投足に一喜一憂し,必死に応援するイレギュラーの選手を映し出す。そんな時,ふとあこがれのジャージを着て,ピッチサイドでレギュラーを支えていた教え子の姿が重なる。あのとき彼はどんな気持ちでピッチサイドに立っていたか。夢を諦めず最後の最後にベンチ入りの座を勝ち取り,レギュラーと同じジャージを着て誇らしげだったか。ピッチに立つ選手たちを眺めながら試合に出場できない悔しさを改めて感じていたのか。それともそんな感情はとうに忘れ,選手・ベンチが一体となってともに闘っていたのだろうか。その後就職の報告に現れた彼に,私は尋ねることができなかった。自らが信じた道を一途に突き進み夢を叶えた彼に,聞いてはいけないような気がした。

 令和の時代が始まり,近い将来,人工知能が人間を凌駕する時代が到来する,そんな不安が世の中を覆っている。人間らしさとは何か,人間が人間である根源は何か。これまであまり触れることがなかったこれらの問いに真剣に向き合わなければならない。ピッチサイドで憧れのジャージを着て,競技生活を終えた教え子から教えられる。夢を追いかける純粋なまでの「一途さ」は,人の心を震わせ,原点に立ち返らせる。一人の人間の成長過程を見守ることのできる教師という素晴らしい職業。残り少なくなった教員人生を奮い立たせてくれる。

「創立100周年,そして新たな時代へ~SSH2期目のスタート~」(関東同窓会寄稿文)

 古川黎明中学校・高等学校が誕生し,今年で15年目,そしていよいよ来年は創立100年の記念の年を迎えようとしております。関東支部同窓会の皆様には,日頃より本校の教育活動にご理解いただき,物心両面にわたりご支援を頂戴しておりますことに深く感謝申し上げます。
 私は4月に着任いたしました小川典昭と申します。前勤務地は3月をもって62年の歴史に幕を下ろし,閉校となった県南白石市の「南中学校」です。国語の教員として長く高等学校に勤務し,中学校勤務は校長として初めての経験でした。閉校にあたっては地域の方々をはじめ,多くの皆様のご支援をいただきました。地域の拠点として中学校が果たす役割の重さを肌で感じるとともに,学校という社会において,いかに人の温もりや思いやりが生徒の心を育むものなのかを,改めて実感いたしました。この貴重な経験を県内初の中高一貫教育校である本校の更なる発展に結びつけられるよう,誠心誠意努力することが私に課せられた使命と思っております。
 さて,本校は今年度,文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の2期目の指定をいただきました。1期目終了後2年の準備期間を要しましたが,職員一丸となっての必死の努力が実を結んだ結果です。1年に750万円,5年で3750万円の予算で,大崎地域で活躍するトップリーダーを育てます。今年は世界農業遺産に認定された「大崎耕土」に学びながら,ゆくゆくは本校が大崎地域全体の拠点として活躍する「大崎サイエンスコンソーシアム」構築を目指します。SSHの2期目の指定は「令和」の時代の始まりと相俟って,本校生徒の前途を明るく照らしているかのような朗報となりました。
 昨年3月の卒業生も,本校始まって以来の国公立大学現役合格者50名を突破,勢いに乗っています。また,県内有数の充実した施設・設備を誇る本校にあって,生徒たちは新入部員を迎え,部活動にも精力的に取り組んでおります(写真は4月に大崎市の広報表紙を飾った書道部,そして河北美術展に3名同時入選の快挙を成し遂げた美術部の生徒たちの様子です)。
 古川黎明中学校・高等学校がますます発展し,先輩方の輝かしい伝統に花を添えられるよう,また,100周年記念事業が成功裡に終えられるよう,職員一同精一杯頑張ってまいります。関東支部同窓会の皆様方の一層のご健勝とご活躍をお祈り申し上げると ともに,今一段のお力添えを賜りますようお願い申し上げ,ご挨拶とさせていただきます。

 

 

 

平成29年度古川黎明中学校・高等学校入学式 式辞

 やわらかな日差しとそよふく風に、希望の春を迎える季節となりました。本日この佳き日に、本校PTA会長鈴木優幸様,同窓会会長千葉典子様をはじめ、多くのご来賓の方々、並びに保護者の皆様方のご臨席のもと、平成二十九年度入学式を挙行できますことは、まことに喜びに堪えません。
 ただいま、中学校百五名、高等学校二百三十二名の新入生を迎え入れることができました。教職員、在校生を代表しまして心から歓迎いたします。
新入生のみなさん、入学、本当におめでとう。
また、保護者のみなさまにおかれましても、本日の我が子の晴れ姿を目の当たりにされ、感慨もまた一入(ひとしお)のことと存じます。心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。
 さて、本校は、大正九年に創立して以来、今年度で九十七周年を迎える、長い歴史と伝統を誇る学校です。平成十七年に、県内初の併設型中高一貫教育校「古川黎明中学校・高等学校」として再スタートをし、十三年目を迎えました。
 本校では、「想像力の育成」、「自主・自立の精神の育成」、「共生の心の涵養」の三つを教育目標に掲げ、「確かな知性、旺盛な自立心、広い共生の心をもって、自己の使命を見出し、国際社会に貢献する人材」の育成を目指して教育活動に取り組んでおります。
 平成二十四年度から進めてきたスーパー・サイエンス・ハイスクール事業はこの三月をもって第一期目が終了し、今年度は一年間の経過措置となりました。来年度からの再指定を目指して取り組みを続けていく運びです。
 ところで、この校舎は三年前に完成した真新しいものであり、またこの秋までは、旧校地にサッカー、野球、ソフトボール、ソフトテニス、ハンドボール、弓道などのスポーツ施設が整備される予定です。完成の暁(あかつき)には、一層充実した教育環境を有することになります。本校では、この恵まれた教育環境のもと、中高一貫教育校としてさらに魅力あふれる学校づくりを推進して行くべく、全教職員が一枚岩となって持てる力を十二分に発揮し、教育活動に取り組んで行こうと決意を新たにしているところです。
 新入生のみなさんは今日からスタートする古川黎明での生活に期待と希望で胸をいっぱいにふくらませていることと思います。中学校の三年間は大人への入り口、高校の三年間は大人への出口と言われます。みなさんがこれから迎える学校生活は、大人社会への準備期間であり、みなさんの今後の人生の道探し・道づくりの時期になるとても大切な日々でもあります。みなさんの今後の人生を実り豊かなものにするために、これからの古川黎明での生活をぜひ有意義で充実した日々にしていただきたいと思います。
 そこでこれからの古川黎明での生活をスタートさせるにあたり、みなさんに本校の校訓「尚志・至誠・精励」についてお話します。
 一つ目の「尚志」は、「志を高く持ち、目標を掲げよ」ということです。私は、人生で大事なことは夢を持つことであるととらえております。夢は人を強くします。夢は人を励まします。夢は人が迷ったとき、道を照らす星になってくれます。若いみなさんには、ぜひ、夢を大きく持ち、あきらめることなくその実現に向けてこれからの生活を頑張っていっていただくことを大いに期待しています。
 校訓の二つ目の「至誠」は、「普段やらなければいけないことを、真剣に、誠心誠意おこなう」ということです。これは、幕末の思想家吉田松陰が門下生に語り続けたもので、「至誠にして動かざるものは、未だこれあらざるなり(精一杯心を込め、やるべきことを尽くせば、それで動かされない人はいない)」という言葉が有名です。みなさんにたとえると、勉強はもちろん、部活動や生徒会活動、学校行事、清掃、友だちづきあい、家庭でのお手伝いなど、何事にも正面から向き合い、手を抜かずに真剣に取り組むことが大切です。
 三つ目の「精励」は、文字どおり「精を出して励む」ことです。何をやるにしても、最後まであきらめずにコツコツと粘り強くやり続ける事が大切です。「コツコツが勝つコツ」。イチロー選手も「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道である」と、努力を続けることの大切さを話しています。これからの学校生活の中で、勉強や部活動はもちろん、何事にも諦めることなく、粘り強く取り組んでください。努力は必ず報われます。
 以上、本校の校訓についてお話しました。これから始まる学校生活で、いろいろなことに挑戦し、持てる力を存分に発揮し、さまざまな経験を積んでください。そして、自分をたくましく成長させていってください。
 先生方はみなさん一人一人が古川黎明の生徒としての誇りと自信を持って、充実した学校生活を送ってもらえるよう、力を合わせて支援し、全面的に協力していきます。私たちもがんばります。みなさんもがんばってください。
 保護者のみなさま、本日からお子様を卒業まで、本校でお預かりすることになりました。この古川黎明中学校・高等学校の学舎の中でお子様が大きく成長し、卒業の時にはそれぞれ希望した進路が達成できますよう、教職員一同最善を尽くす所存です。
 中学校・高校時代は、子どもたちが責任ある大人として、自立していく重要な過程のまっただ中にあり、成長と変化が著しいときです。保護者のみなさまにおかれましては、お子様の努力の様子を、常に温かく、時には毅然として見守っていただきますようお願いいたします。
 今後、教育を進める中で、ご家庭との連携がますます重要となってまいります。今後とも本校へのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 結びに、ご多用の中、ご臨席を賜りましたご来賓、並びに保護者のみなさまに重ねて感謝を申し上げますとともに、新入生のみなさんがこれからの学校生活の中で、互いに励まし合い、支え合いながら切磋琢磨し、たくましく成長してくれることを大いに楽しみにして、式辞といたします。

        平成二十九年四月七日
宮城県古川黎明中学校・高等学校 校長  阿部 修一

平成28年度古川黎明中学校・高等学校入学式 式辞

 やわらかな日差しと心地よい風に、生命が躍動する希望の春を迎える季節となりました。今日のこの雨は,大地に潤いを与え,草木の命をはぐくむ,まさに恵みの雨といったところでしょうか。諏訪公園の桜の花も咲き始めたこの佳き日に、本校PTA会長窪田浩昌様,同窓会会長千葉典子様をはじめ、多くのご来賓の方々、並びに保護者の皆様方のご臨席のもと、平成二十八年度入学式を挙行できますことは、まことに喜びに堪えません。
 ただいま、中学校百五名、高等学校二百四十名の新入生を迎え入れることができました。教職員、在校生を代表しまして心から歓迎いたします。
 新入生のみなさん、この度の入学、本当におめでとう。また、保護者のみなさまにおかれましても、本日の我が子の晴れ姿を目の当たりにされ、感慨もまた一入(ひとしお)のことと存じます。改めまして心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。
 さて、本校は、大正九年に、志田郡立高等女学校として創立し、戦後の学制改革により古川女子高等学校となり、ここ大崎の地での女子中等教育の振興に長らく力を尽くしてまいりました。そして、平成十七年には県立高校の男女共学化の流れにより、県内初の併設型中高一貫教育校「古川黎明中学校・高等学校」として再スタートを切りました。創立以来、今年度で九十六周年を迎える、長い歴史と伝統を誇る学校です。
 本校は、「尚志・至誠・精励」の校訓のもと、「想像力の育成」、「自主・自立の精神の育成」、「共生の心の涵養」の三つを教育目標に掲げ、「確かな知性、旺盛な自立心、広い共生の心をもって、自己の使命を見出し、国際社会に貢献する人材」の育成を目指して教育活動に取り組んでおります。
 平成二十四年度からは、未来を担う科学技術系人材を育てることをねらいとする文部科学省指定事業、スーパー・サイエンス・ハイスクールの指定を受け、理数系教育の研究開発を続けているところです。
 一昨年、待望の新校舎が完成しました。新しく充実した環境のもと、中高一貫教育校として魅力あふれる学校づくりを推進して行くべく、全教職員が「チーム黎明」として持てる力を十二分に発揮し、教育活動に取り組んで行
こうと決意を新たにしているところです。
 新入生のみなさんは今日からスタートする古川黎明での生活に期待と希望で胸をいっぱいにふくらませていることと思います。中学校の3年間は大人への入り口、高校の3年間は大人への出口と言われます。みなさんがこれから迎える学校生活は、大人社会への準備期間といえるものです。古川黎明での生活は長い人生のうちでは僅かな年月ですが、この古川黎明での生活がみなさんの今後の人生の道探し・道づくりの時期になるとても大切な日々でもあります。みなさんの今後の人生を実り豊かなものにするために、これからの古川黎明での生活をぜひ有意義で充実した日々にしていただきたいと思います。勉強はもちろん、部活動や生徒会活動にも積極的に参加してください。そしていろいろなことに主体的に意欲的に果敢にチャレンジしてください。
 これからの学校生活を充実したものにするために、みなさんに三つの「気」を大切にしてもらいたいと思います。
 一つ目は「元気」です。何でもそうですが、物事をしっかりと行っていくためには元気が大切です。毎朝、「おはようございます」の元気なあいさつで、一日をスタートさせましょう。笑顔で元気に挨拶のできる生徒になってください。
 二つ目は「やる気」です。元気であれば、やる気が出ます。何事でも、やる気を持って、前向きな姿勢で主体的に取り組んでいくことが大切です。失敗を恐れる事はありません。失敗をするから成功があるのです。待ちの姿勢
では何も変わりません。何でも思い切ってやってみることが大切です。
 三つ目は「根気」です。何をやるにしても、最後まであきらめずに、コツコツと粘り強くやり続ける事が大切です。「コツコツが勝つコツ」。これからの学校生活の中で、勉強や部活動はもちろん、何事にも諦めることなく、粘り強く取り組んでください。
 以上、「三つの気」、「元気・やる気・根気」を大切にして、これから始まる学校生活で、いろいろなことに挑戦し、持てる力を存分に発揮し、さまざまな経験を積んでください。そして、自分をたくましく成長させていってください。
 先生方はみなさん一人一人が古川黎明の生徒としての誇りと自信を持って、充実した学校生活を送ってもらえるよう、力を合わせて支援し、全面的に協力していきます。私たちもがんばります。みなさんもがんばってください。
 保護者のみなさま、本日からお子様を卒業まで、本校でお預かりすることになりました。この古川黎明中学校・高等学校の学舎の中でお子様が大きく成長し、卒業の時にはそれぞれ希望した進路が達成できますよう、教職員一同最善を尽くす所存でございます。
 中学校・高校時代は、子どもたちが責任ある大人として、自立していく重要な過程のまっただ中にあり、成長と変化が著しいときです。保護者のみなさまにおかれましては、お子様の努力の様子を、常に温かく、時には毅然として見守っていただきますようお願いいたします。
 今後、教育を進める中で、ご家庭との連携がますます重要となってまいります。今後とも、本校へのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 結びに、ご多用の中、ご臨席を賜りましたご来賓、並びに保護者のみなさまに重ねて感謝を申し上げますとともに、新入生のみなさんがこれからの学校生活の中で、互いに励まし合い、支え合いながら切磋琢磨し、たくましく
成長してくれることを大いに楽しみにして、式辞といたします。

 平成28年4月7日
宮城県古川黎明中学校・高等学校  校長 阿部 修一

平成27年度古川黎明中学校・高等学校入学式 式辞

 黎明に春を告げる白梅はいつになく満開が早く,諏訪公園の桜がまもなく開花の時期を迎えようとしています。
 この佳き日,PTA会長,同窓会長をはじめとするご来賓の皆様のご臨席を賜り,平成27年度,宮城県古川黎明中学校・高等学校の入学式を挙行できますことはこの上ない喜びであります。ご臨席の皆様に厚くお礼申し上げますとともに,本日,晴れの日を迎えられました保護者の皆様に心よりお喜びを申し上げます。
 ただいま入学を許可した中学校105名,高等学校全日制課程普通科228名の新入生の皆さん,入学おめでとう。教職員及び在校生一同,皆さんの入学を心より歓迎します。
 本校は,大正9年に志田郡立古川高等女学校として開校以来,宮城県古川高等女学校をへて,戦後の学制改革により宮城県古川女子高等学校となり,80年以上にわたり大崎地区の女子教育の中心校として,県内のみならず国内外に優れた人材を送り出してきました。平成17年4月には,宮城県内の公立学校として初めてとなる男女共学,併設型中高一貫教育校「宮城県古川黎明中学校・高等学校」としての歩みを始め,そして今年,古川高等女学校から数えて95周年を迎えました。卒業生は既に29,400名を超え,古川黎明中学校の卒業生も636名を数えます。5年後の100周年に向けて,尚一層充実した教育活動を推進しているところであります。
 本校は,「尚志」「至誠」「精励」という三つの校訓と,「創造力の育成」「自主・自立の精神の育成」「共生の心の涵養」の三つの教育目標を掲げ,「確かな知性,旺盛な自立心,広い共生の心をもって,自己の使命を見い出し,国際社会に貢献できる生徒」の育成を目指し教育活動に取り組んでいます。
 古川黎明の教育の特長としては,まず「併設型中高一貫教育」があげられます。これは中学生と高校生が同じ敷地,同じ校舎で学び,施設設備も共有しながら,中高6年間の継続した学びを可能とするものであります。日常の授業や部活動では中学校・高校教員の交流があり,今日の入学式に代表される儀式や全校集会は,中学校・高校合同で行われます。体育祭や黎明祭などの学校行事では中学生・高校生が一緒に企画運営に当たり,大変な盛り上がりを見せています。生徒会活動や部活動でも中学生・高校生がともに力を合わせて活動する姿があります。
 そして,「スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)」です。文部科学省から5年間の指定を受け,本校では全校生徒を対象としています。4年目となる今年は3年間の取組を踏まえ,各種の講演会,課題研究,海外研修,タイとの国際交流などの活動を推進していきます。

 ここで,新入生の皆さんに二つのことをお話ししたいと思います。
 一つ目は,「目標を持つ」ことです。
 学校で学ぶために必要なことは,向上心を持ち続けることです。日々の生活では喜びや楽しみよりも,苦労や困難なことの方が数多くあります。何度も壁にぶつかることでしょう。壁を乗り越えても新たな山がそこに見えて来ることでしょう。しかし,立ち向かう道は一つだけではありません。乗り越える方法は何通りもあります。そのことに気付くかどうかです。日々の経験から知識を学び,知恵を獲得することです。一段一段階段を昇るように,着実に歩みを進めることです。そのために必要なことは課題を持つことであり,目標をもつことです。私たちには,生まれながらに前向きに考える姿勢が備わっています。一歩を踏み出すために,はっきりとした目標・計画を自分で設計し行動に移してほしいと思います。
 二つ目は,「しっかりと考えること」です。
 「しっかり考える」とは,闇雲に考えることではありません。「科学的に思考する」ことです。「科学的思考」とは,課題を解決するための方法です。まず何をどうしたいのか。課題をはっきりとさせる必要があります。その課題がどこから見えてきたのか,なぜ見えてきたのかを調べなければなりません。そのためには下調べが必要です。集まった材料を様々な場面を考えながら組み合わせていきます。組み合わせ方も様々あるでしょう。つまり,教わった知識や自分で調べ考えて身につけた知識を総動員して,物事をよく観察し疑問を持ち,再び自分で調べ考えてよく教わり,新しい知識を身につける,さらに,自分で新しい課題を探して自分の力で解決していく。このようなこと全体が「科学的思考」ということです。このことはSSH事業とも関係しています。皆さんの積極的な取組に期待します。
 新入生の皆さん,入学式は誓いの場でもあります。皆さん一人一人の中学校生活あるいは高校生活への期待を6年間あるいは3年間忘れないでほしいと思います。今,考えている夢や,希望,決意を忘れずに,これからの生活の糧として生かしてほしいと思います。努力は必ず報われます。悩んだ経験は深みのある人間へ成長させてくれます。古川黎明は皆さんを全力でサポートします。一日も早く本校での生活に慣れ,学校生活が充実したものとなるよう努力してください。

最後になりますが,保護者の皆様にお願い申し上げます。本日から,お子様をお預かりいたします。我々教職員は,保護者の皆様のご期待に添えるよう,新校舎という新しい施設設備を最大限に活用し,生徒指導と学習指導を両輪として,一致団結して取り組みます。また,ご家庭と密接に情報交換しながら教育活動を進めて参りますので,保護者の皆様には,何卒,本校の教育方針へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 結びに,本日,ご多用のところご臨席を賜りました皆様に,心より感謝を申し上げ,式辞といたします。

 平成27年4月7日
宮城県古川黎明中学校・高等学校  校長 庄子 英利